マナドヒラタの産地と系統

前回に引き続き、マナドヒラタに関する記事です。

ヒラタ原名は、基準産地がマナドなので、通称マナドヒラタと呼ばれているというのは、前記事にて書きました。

しかしながら、マナド以外の産地も存在します。

ヒラタクワガタ原名亜種の生息地は、基準産地マナドがあるスラウェシ島北部、ペレン島(東部)、バンガイ島、タリアブ島となっています。

ヒラタ原名をまとめてマナドヒラタと呼ぶので、ややこしい部分ではありますが、最近は流通過程で、スラウェシ島北部産以外については、ヒラタ原名○○産と表記されていることも多いようです。

さて、ここで昨年(2020年)特に話題となった件について触れておきます。

これは、A社輸入のWD個体、マナド産マナドヒラタ(以下、アリマナと表記します)から、持腹、追い掛け共に内歯上がりが複数出たというSNS上の情報です。

個人的に、この問題は奥が深いと思っていて、どう理解し、どう解釈するかによって、各々のブリードスタイルにも影響を及ぼすものと考えます。

マナドヒラタについては、元々はWD採集の第一人者である、I氏が国内に持ち込んだ個体や、そこからの累代が主だったと認識しています。

A社はマナドヒラタを10年ほど前から輸入をしていますが、昔も同様の問題はあったようです。

直接A社から聞いた話ですが、マナドヒラタについては、これまでに500prほどを輸入してきた中で、上がりが出たという報告が数件。

これをどう考えるかですね。

内歯変動については、おそらくtyphon(スラウェシオオヒラタ)との交雑の可能性が高いのですが、typhonはスラウェシ本島中部~南部、ペレン島西部に生息しているため、間違いなく係争地は存在するものと思われます。ペレン島では確認されていますが、本島では未確認(おそらく)。

なので、ペレン島産の産地偽装という話が出てくるのですが、個人的にはその可能性は低いかなと。

A社はペレン島産の上がり(typhon)をペレンヒラタ(内歯上がり)として販売をしますが、下がりであればペレンヒラタ(内歯下がり)として販売すると思います。

マナド産にした方が値が付くという意見もありますが、逆にペレン下がりが希少と考える人もいます。

スラウェシ本島において、自然下における交雑の可能性が否定できない以上、真相は分かりませんね。

2年くらい前から、人気が沸騰し価格が高騰した種ですので、一昨年あたりに購入された方は、安くない金額で入手している方も中にはいらっしゃると思います。

なので、そのような個体から内歯上がりが出たら凹む気持ちは分かります。

しかし、言ってしまえば、こういうリスクも含めて、WD個体を手に入れてブリードするということの醍醐味だったりもします。

陸続きのエリアに亜種が複数存在するような種の場合、その虫の置かれている状況や価値というものを理解していれば、人気が上がり異常に高騰した時の判断を誤らないのではないでしょうか。

アリマナ以外の原名については、採集家I氏系(マナド産、コタモバグ産)、SHOPであるB社系(I氏同行での採集歴あり)、その他。

このあたりが主に出回っている個体。

血統マナドについてはI氏系統からの作出だったと思います。

I氏系統、B社個体に関しては、採集の際にGPSによる位置情報を取っているので、産地情報に保証があります。

このあたりが、流通価格にも反映されています。

但し、B社扱いの過去のコタモバグ産については、「実はコタモバグ産ではなかった。」と謝罪動画がUPされてますので、信用度が下がってしまったことは否めません。(現在はGPS情報を取っているそうです。)

一方のA社は、元々産地証明を出していないので、信用のみの勝負です。

こちらは扱っている種がかなり多いので、仕方無い部分であるかとは思います。

言い換えれば、外国産のカブクワ全般に言えるのは、経緯度証明がある方が稀ということになります。

あとは、各々の判断でしかありません。



ちょっと話が逸れますが、一部産地のマナドヒラタに関して、最大内歯位置が一発上がりという個体群があります。

生息地域周辺の個体特徴、周辺別亜種と比較すると、ごく限られたエリアのみが進化による多様性の中でそうなるとは考えにくい上、

書籍等において、原名亜種の特徴として明記されているのは見たことがないので、”マナドヒラタ=一発上がり”という考え方は間違っています。

とはいえ、遺伝子レベルでの解明がされているわけではないので、現時点では一部の産地特徴として扱えばいいと思います。

大切なことは、飼育下においては、それぞれの産地個体群を絶対に掛け合わせないということになります。

自分も今の段階では、アリマナはマナド産ヒラタクワガタ原名亜種(マナドヒラタ)として扱いますが、今後の情報によって変わる可能性はあります。

基本的には飼育やブリードを楽しむスタイルですので、詳細が判明していないことはあまり気にしないです。判明したらまたそれはそれで楽しいと思うので。

勿論、標本家の方にとっては、産地情報は極めて重要な要素ですので、産地情報の信用度が高い個体を手に入れています。

ブリーダーも同じなのですが、いずれにせよどこから手に入れるかは、人それぞれだと思います。

ヒラタ原名については、このような状況を踏まえた上での、飼育ブリードだということを理解しておくことも大切です。



マナドヒラタの産地と系統” に対して2件のコメントがあります。

  1. 小次郎 より:

    はじめまして。小次郎と申します。

    よくSNSとかで、本物のマナドヒラタとか、
    本物のマナドヒラタは、アゴが太いとか、
    最大内歯が上がらないとか聞きますが、

    本物のマナドヒラタってなんでしょうか?

    私は、
    マナドヒラタ=原名亜種
    マナド産、コタモバグ産、ペレン産、バンガイ産、
    全てマナドヒラタだと思ってました。

    逆に本物じゃないとしたら、、
    偽物のマナドヒラタは、亜種に分けると何なのか気になります。

    アリストさんで、購入したものは、
    本物ではなく、偽物のマナドヒラタに該当するのでしょうか。

    1. drakuwa より:

      小次郎さん
      コメントありがとうございます。
      そうですね・・・本物とか偽物とかよく目にします。
      あくまで個人的な認識というか所感ですが、「マナドヒラタ」というのは原名亜種の通称であるため、全ての産地を一概にそう呼称することは間違ってはいませんが、そもそも基準産地名が通称になってるわけですから、少なくともスラウェシ本島の北東部以外の原名亜種に対して「マナドヒラタ」と呼称するのは混乱を招くと思うのです。
      ペレン島産であれば、ヒラタ原名亜種ペレン島(詳細産地)産。ペレン島は係争地が存在するので、詳細産地があったほうが良いと思います。
      ペレンヒラタとして流通もされていますが、内歯上がり、中間、内歯下がり存在しますので、最近は詳細産地が明記されることが多いです。
      ちなみに某採集家ラベルのペレン島産ブリード個体を入手しようとすると、販売ブリーダーから詳細産地は教えてもらえない場合があります。産地偽装を防ぐためだとしていますが、これは完全に逆効果でラベルの信用性を落としているように感じます。
      バンガイ島産は、バンガイヒラタでもヒラタ原名亜種バンガイ島産のどちらでも良いと思います。
      スラウェシ本島については、ここ数年で亜種typhonとの交雑と見られるWD個体の入荷され、そこからのブリード個体でも出てきており、そもそも自然下での係争地もはっきりしておりません。
      小次郎さんの仰る「本物のマナドヒラタ」についてですが、これは某採集家ラベルによく見られる表現ですよね。オークションサイトなどでよく見かける表現ですが、これはそのラベルの価値を維持したい、または向上させたいという意図が見られます。まだマナドヒラタの入荷が少なかった頃に比べ、現在は複数の輸入業者によって国内へ入ってきています。
      特に多くの個体を輸入してきたのが、小次郎さんの言うA社になりますが、こことの差別化を図ったのではないでしょうか。
      A社輸入のマナドヒラタはすべて偽物だという方々は、何を根拠にしているのか分かりません。ただ採集家ラベルが本物という認識でしかないのだと思われます。
      しかし、その本物とされてきたコタモバグ産でさえ、B社により産地偽装されていたものですので、現在では採集家ラベルの信憑性も怪しくなっています。
      個体の外見的特徴から判断するのは中々困難ではありますが、現状のヒラタ原名亜種産地の外見的な特徴(内歯下がり、艶消の頭部・前胸背板、頭楯形状など)を持った個体については、ブリード結果も考慮しながらにはなりますが、原名亜種として扱うことに問題はありません。
      WD個体を入手して、その子から内歯変動が起きたとか外見的特徴に変化が起きたなどと騒がれますが、原名亜種の生息域や現在の亜種分類を考慮すれば、それが絶対に起きないという保証はどこにもありません。
      そのような状況下にある種だと認識していれば、万が一原名亜種の特徴を持たない個体が出てきた場合には、原名亜種としては流通させないという判断となるかと思います。
      A社は顧客対応について否定的な意見が多いため、アンチが多いのはしょうがないですが、それとこれとは別問題です。
      信用できないという方は購入しなければいいだけで、A社の個体が偽物という根拠はないので、個々人での判断でよろしいかと思います。
      M社においてもA社輸入のマナドヒラタを仕入れて販売していますし、BE-KUWA飼育レコード個体も元のWD個体はA社輸入の個体です。
      M社が認定している以上、一般ブリーダーが何を言っても変わりません。本物だ偽物だと言う方はA社に対する負の感情が大きい感情論なんだと感じざるを得ません。
      内歯一発上がり、内歯幅については、産地特徴として捉え、血統マナドについては顎太の遺伝子を累代を重ね太くしたものだと推測されます。
      N社輸入のアイルマディディ産から似たような形状が出てきていますので、採集家ラベルのみの特徴では無いことが分かり始めています。
      亜種分類に関しては専門家ではありませんので、遺伝子解析など進めば今後変わる可能性があるのかもしれませんね。
      私は、原名亜種をブリードしながら、産地別特徴などを見るのが面白いので、今後も楽しくブリードしていきたいと思います。
      情報が更新されたら、またそれに合った楽しみ方をすれば良いと思っています。その都度ブログでも発信していきます。
      ヒラタ原名亜種の魅力が少しでも伝われば幸いです。
      長文になり読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。
      SNSもやっておりますので、何か聞きたいことがありましたらDM等でお気軽にご連絡ください。

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